裁判所は、全国各地にありますが、民事調停の申立ては、どこの裁判所に対してもできるというわけではありません。
特定の事件についてどの裁判所が裁判権を行使するかに関する定めのことを「管轄」といいますが、民事調停事件についての管轄は、民事調停法により決まっています。
申立てのされる民事調停の類型のうちほとんどの割合を占める民事一般調停、宅地建物調停、商事調停、交通調停について説明します。
相手方の住所等が原則
宅地建物調停以外では、相手方の住所等を管轄する簡易裁判所が原則とされています。
これは、相手が調停に出る際の便宜を考慮して決められています。民事調停は相手方が裁判所に来てくれないとはじまらないものなので、合理性があります。
3条1項 調停事件は、特別の定めがある場合を除いて、相手方の住所、居所、営業所若しくは事務所の所在地を管轄する簡易裁判所又は当事者が合意で定める地方裁判所若しくは簡易裁判所の管轄とする。
民事調停法
住所を管轄する裁判所の調べ方は?
住所を管轄する裁判所がどこになるのかは、裁判所のホームページから調べることができます。
裁判所HPトップ > 裁判手続案内 > 裁判手続を利用する方へ > 裁判所の管轄区域
から、全国どこの住所であっても、その住所を管轄する裁判所を調べることができます。
裁判所のホームページにある管轄区域一覧表には、
- 高等裁判所
- 地方・過程裁判所
- 簡易裁判所
- 合議事件
- 少年事件
- 検察審査会
とたくさんの項目がありますが、民事調停を利用する場合は「簡易裁判所」の欄にある裁判所を利用することとなります。
東京簡易裁判所には、霞が関庁舎と墨田庁舎の2つがありますが、民事調停は墨田庁舎で実施されます。
宅地建物調停と交通調停
例外として、宅地建物、すなわち不動産の問題は、宅地建物調停として、紛争の目的である宅地または建物の所在地を管轄する簡易裁判所が管轄となります(民事調停法24条)。
相手方の住所等を管轄する簡易裁判所には管轄がありません。
交通調停では、相手方の住所等を管轄する簡易裁判所に加えて、損害賠償を請求する者の住所等を管轄する簡易裁判所も管轄となります(同33条の2)。
つまり、申立人・相手方いずれの住所等を管轄する簡易裁判所でも大丈夫ということです。
合意管轄で地方裁判所も選べる
管轄は、当事者が合意して決めることもできます(合意管轄といいます)。
簡易裁判所ではなく地方裁判所を管轄とすることもできます。
管轄一覧表
民事調停での事件ごとの調停の管轄を一覧表にしたものが以下の表となります。