東京簡易裁判所での民事調停は霞が関ではなく墨田庁舎で行われる 新宿での出張調停が使えることも

民事調停の管轄が東京簡裁となる場合

民事調停の管轄は、宅地建物調停以外については、原則として相手方の住所や相手となる法人の所在地を管轄する簡易裁判所となります。
宅地建物調停の管轄は、その土地建物の所在地を管轄する簡易裁判所です。

東京簡易裁判所が管轄となるのは、住所や所在地が、特別区の存する区域及び、三宅村、御蔵島村、小笠原村に相手方の住所(会社の場合は所在地)にある場合です。
特別区とは、東京23区(千代田区 中央区 港区 新宿区 文京区 台東区 墨田区 江東区 品川区 目黒区 大田区 世田谷区 渋谷区 中野区 杉並区 豊島区 北区 荒川区 板橋区 練馬区 足立区 葛飾区 江戸川区)のことです。

2つの東京簡易裁判所

裁判所のホームページで調べると、東京簡易裁判所としては霞が関と墨田の2つの裁判所が出てきます。
各裁判所はどちらも同じ機能を持つわけではなく、それぞれに役割の分担があります。

(参考:裁判所HPトップ>各地の裁判所 > 東京簡易裁判所 > 裁判手続を利用する方へ > 窓口案内

東京簡易裁判所(東京都千代田区霞が関1-1-2)

霞が関の東京簡易裁判所(霞が関庁舎)は、通常訴訟や少額訴訟を中心に扱い、民事調停事件の申立ての受付や期日の実施はしていません。

ただし、霞が関庁舎で扱っていない各手続についても、手続内容や利用方法などの説明、申立ての定型用紙の配布、記入方法と申立てに必要な手数料、郵便切手などの案内を受けることができるようになっています。

東京簡易裁判所墨田庁舎(東京都墨田区錦糸4-16-7)

墨田庁舎では、民事調停や支払督促を中心に扱っており、民事調停の期日が開かれるのはこちらの墨田庁舎です。

霞が関庁舎とは違い、墨田庁舎では、霞が関の東京簡易裁判所が扱う通常訴訟や少額訴訟についての説明、案内は行われていません。

墨田庁舎が扱う民事調停及び支払督促の手続については、手続の内容や利用方法などの説明や、申立ての定型用紙の配布、記入方法と申立てに必要な手数料、郵便切手などの案内を受けることができます。

新宿出張調停について

利用する要件

墨田庁舎で行われることが原則となっている東京簡易裁判所の民事調停ですが、以下の要件をすべて満たす場合には、新宿にて調停を実施してもらうことができる制度があります。
これを新宿出張調停といいます。

  • 相手方の住所又は勤務先が、新宿区、目黒区、世田谷区、渋谷区、中野区、杉並区、豊島区、北区、板橋区、練馬区にあること
  • 申立人、相手方の双方が新宿での調停を希望していること
  • 調停委員会が相当と認めた事件であること(特定調停は含まれません)

新宿出張調停の場所

法テラス東京にて行われます。

住所:新宿区西新宿1-24-1エステック情報ビル13階
JR新宿駅の西口から徒歩8分程度です。

利用の注意点

新宿出張調停の利用にあたっては、3点の注意点があります。

  • 実施日は、毎週木曜日(祝日を除く)に限られます。
  • 第1回調停期日は原則どおり、東京簡易裁判所の墨田庁舎で行われます。
  • 調停申立てと同時(同時に提出できない場合は1週間以内)に、新宿調停を希望することと、希望の理由を記載した書面(新宿調停実施上申書)を提出する必要があります。

曜日が木曜だけという点や、すべて新宿で手続をすすめることができるわけではないという点、そこまでの利便性を感じられないかもしれませんが、墨田庁舎の最寄りである錦糸町駅よりも新宿駅の方が利用しやすいという方には選択肢が広がる制度となります。