民事調停というワードを検索すると、「民事調停 意味ない」「民事調停 無意味」などのサジェストが出てきました。
どういうことなのでしょうか。
問題を解決できないことがある
民事調停の申立てを行っても、不成立となった場合や、17条決定が出ても当事者から異議が出た場合は、民事調停での問題の解決とはなりません。
後から裁判をしても内容は引き継がれない
民事調停を経てから、裁判をしても、裁判では調停で話し合いをしていた際の内容が引き継がれるわけではありません。
というのは、調停に関与した民事調停官と同じ人が裁判を担当することにはなりません。
また、調停に出した申立書や証拠、相手から出た書面などは、そのまま裁判の記録とはならず、調停委員が期日にメモ等を作っていたとしても、そういったメモ等が引き継がれることもありません。
不成立でも役に立つ場合も!
問題の整理ができる
相手方が出頭した場合はもちろんですが、出頭しなかった場合でも、あなたが期日に出席し、調停委員に申立てについての事情を説明することで、問題についての助言等を得られ、問題を整理することができることがあります。
事情を探る手段として使える
民事調停は、こちらに証拠が乏しかったり、裁判をしたときに相手方がどんな反論をしてくるかわからない場合、それを探る手段としても使えます。
話し合いの手続きですので、相手方も、民事調停には、弁護士をつけないで構えずに出席してくれることがあります。調停委員は中立の立場なので、相手方も調停委員に対しては、事件についての実情や言い分を伝えたり、こちらになかった手持ちの資料を調停の場に出してきてくれることがあります。
民事調停では解決できなかったとしても、調停の場で相手から出てきた話や資料が、後に裁判を起こす際に役立つということがあります。
調停での資料は裁判でも出せる
相手が出頭して話し合いができていた場合は、調停で自分が出した調停の申立書や、相手からの答弁書、期日における双方の書面などは、裁判で証拠として出すことができます。
証拠として出すことで、裁判を担当する裁判官には、同じ事を1から説明し直す必要はなく、調停でお互いが主張していた内容を理解してもらうことができます。
弁護士からも調停は意味がないと言われたけれど?
弁護士は、調停より訴訟を活用します。理由は、弁護士は法的知識があり、最終的な解決手段である裁判を選ぶことができるからです。わざわざ解決しない可能性のある迂遠な手段ともいえる調停を選ぶ理由に乏しいのです。
法的に立つ主張があり、主張を裏付ける十分な証拠があるなら、訴訟を起こす方が時間的にも労力的にも無駄がなくなります。
弁護士でも活用できるケースは少なくない!
とはいえ、専門家委員の知見を活用したい事案や、企業のレピュテーションリスクを考慮すると公開の裁判ではなく非公開の手続きをが望ましい事案などでは、裁判よりも調停こそがふさわしいとして調停を積極的に活用する弁護士もいます。
弁護士になる前に研修を受ける司法研修所では、民事調停について学ぶ機会はほとんどありません。
この点も、弁護士が調停に積極的ではない理由の1つではないかといわれています。
もっと民事調停は有効に活用できると、弁護士会の出す月刊誌で特集が組まれたり 1、研修が実施されたりしています。