民事調停の申し立てには何を準備する必要がある?

まずは申立書

申立書とは?

民事調停を起こすためには、民事調停申立書という書類を作成して裁判所に提出することとなります。  
雛形や書き方については、こちら(書式・文例集)をご参照ください。

1通では足りない

提出する申立書は、1通では足りません。裁判所に見てもらう分だけではなく、相手の分もあなたが準備する必要があります。

裁判所には手数料である印紙を貼った申立書を出しますが、この手数料を貼ったものを申立書の正本といいます。
これとは別に、裁判所は、あなたの申し立てた内容を、調停の第1回期日が実施される前に相手にも知らせる必要があります。これは、相手もあなたの言い分を確認した上で調停に出席してもらうためです。
そのため、裁判所から相手に送ってもらう分の申立書が余分に必要となります。相手に送られる分のことを申立書の副本といいます。
正本とは別に、相手の数だけ申立書の副本が必要となります。

自分の手元に残しておく控えの分も忘れないようにしましょう。

民事調停の相手が1人の場合、1(正本)+1(副本)+1(控え)=3通
相手が2人の場合、1(正本)+2(副本)+1(控え)=4通
これだけの通数が必要となります。

作成の注意事項は?

正本や副本は、全部手書きしての提出も問題はありませんが、何通も手書きで作成すると、記載内容を間違えてしまうことがあります。
読みやすさという観点からも、手書きした1通を必要な部数だけコピーするようにしたり、パソコンをお持ちの方は、パソコンで作成した上で必要な通数印刷をするとよいでしょう。

提出する正本と副本は、いずれも記名と押印をして、各頁の余白に捨印を押印して提出してください。
印は、1通ずつに押すことが必要なので、申立書をコピーして準備する場合、印を押す前にしましょう。

手数料と郵便切手

手数料と郵便切手も必要となります(参考:計算フォーム有/民事調停申立をするにはお金がいる?計算方法は?)。

証拠となる資料

どのような申立てをするかによって、必要となる証拠は異なります。紛争類型ごとの証拠の一例は以下のとおりです。

紛争類型 証拠
貸金返還請求 金銭消費貸借契約書、借用書、念書等の貸金の存在を裏付ける資料、請求書や相手からの請求に対する返済の猶予を求める返事等
賃料不払いを理由とする不動産の明渡請求 賃貸借契約書、家賃の入金状況についての資料(家賃通帳、銀行口座への振込履歴)
交通事故による損害賠償請求 交通事故証明書等事故の発生を証明する資料、事故現場状況図、診断書、損害を裏付ける各種領収書、保険会社との交渉資料等
セクハラ、パワハラによる損害賠償請求 セクハラ、パワハラの発生を証明するメールや録音データ、日記、損害を裏付ける通院資料等

紙媒体の契約書などの資料だけではなく、電子メールや、LINEなどアプリでのやりとりも印刷して証拠として提出することができます。

日記や録音データも証拠となりえますが、日記は、客観性という点で証拠価値が高いものとみられないこともあります。録音データについては、反訳(文字への書き起こし)が必要となり(民事訴訟規則144条参照)、また、恣意的な抜粋とみられないように、重要と判断する一部分を抜き出しての反訳ではなく、前後の文脈もわかるように録音全体の反訳を提出することも必要となってきます。

証拠となる資料も、1通では足りません。申立書と同じ通数(正本、副本、控え)を準備しましょう。