【文例5】高齢の母が訪問販売を受けて大量の高価な寝具や寝具用除湿剤を買わされたので返金を求めたい

東京地裁平成19年11月9日(損害賠償請求事件)をベースとした事案における、販売会社に対する民事調停を行う際の申立ての趣旨や紛争の要点、添付書類の一例です。

判決は、販売会社が自宅に押しかけて不必要な布団や除湿剤を購入させた売買契約は、詐欺、恐喝または暴利行為により無効であり、また、社会的相当性を逸脱して違法性があり不法行為に該当するとして、販売会社及び会社の代表に連帯して請求額全額(1142万円)の賠償義務を認めました。

1人暮らしをしている母が訪問販売の人に、布団や布団用の除湿剤を1000万円以上も買わされていました。

定期預金を解約して支払い、クレジット契約も結ばされています。

実は、最初他の業者から布団を買ったのをきっかけに、他の業者からも次々に購入の勧誘が来ることになりました。

この業者からは、これ以上買わされる被害を受けないための登録制度があると電話で言われ家に上げたところ、高圧的な態度を示されたそうなのです。

クーリングオフの期間は過ぎていますが、悪質なので返金を求められないのでしょうか。

クーリングオフが主張できなくても、独居の女性に1000万円以上もの布団や布団や布団用の除湿剤を買わせたのであれば、暴利行為での無効が主張できそうです。

威圧的に買わせた態様が不法行為であるという主張もできるでしょう。

母は認知症とまではいかないのですが、高齢で最近は足が悪く、自分で対応するのは難しそうです。

母が自分で裁判所に行けない場合、弁護士に依頼するしかないでしょうか。

金額も大きいので弁護士に依頼してもいいですが、簡易裁判所で行われる民事調停では、裁判所の許可を得て弁護士以外でも代理人となれます。

事情がわかっている娘さんのあなたがお母様の代理人として期日に出頭することもできます。

調停ではなく裁判をする場合は、金額が140万円を超えるため管轄は地方裁判所になります。

地方裁判所での代理人資格は弁護士となります。

申立ての趣旨

相手方ら1は、申立人に対し、金●●円を支払うことを求める

紛争の要点

申立人の生活状況

私は、現在77歳で、10年前に夫に先立たれてからは1人暮らしをしています。
夫から引き継いだ酒屋を1人で営んでおり、そこからの収入だけで生活しています。

悪質な販売方法

私は、有限会社Cから布団用除湿剤を購入した令和1年6月以後、次から次ぎに4社から合計2000万円以上の布団や布団用除湿剤を購入させられました。

そのうちの一社が今回の相手方の有限会社Aです(A会社といいます)。
最初、A会社からは、「あなたが除湿剤を購入させられたのは「次々販売」という商法で、これ以上被害を受けないための登録について話がある」と電話連絡を受けました。

私は、もう除湿剤を購入させられる被害にあいたくなかったため、数日後の令和1年11月16日、私の家に来てもらいA会社の社長と面談することにしました。

A会社の社長Bは、大柄で浅黒く40歳くらいで、従業員の男性1人と一緒に家にやってきました。

買わないための登録について聞くと、「今度勧誘の電話があったら、契約はしないで警察に電話しろ」という話をされただけで、A会社の除湿剤をさらに買うことをすすめられました。

既に買わされた除湿剤がたくさんあったことから、もういらないといったんは言ったのですが、Bも従業員も怖い顔をして押し黙り、家から帰ってくれなかったので、買約束をすることになってしまいました。

A会社との一連の契約

(1)社長Bが初めて来た11月16日には105万円分の除湿剤の契約をしました。
5万円はその場で、100万円は21日に支払いました。

(2)Bは、2日後の18日にも、「どうしてもこれだけは買ってもらわないと困る」と家にやってきて、除湿剤をさらに買うことになりました。
8400円はその場で、147万円はクレジット契約で支払いました。

(3)その1週間後の21日には、Bは購入した除湿剤28セットの引き渡しと100万円の受け取りのために家に来ましたが、このときさらに追加購入をさせられました。
このとき、除湿剤11セットは101万6400円で購入し、内金1万6400円はその場で現金で、100万円分はクレジット契約で支払いました。
除湿剤9セットは83万1600円で購入し、内金1600円はその場で現金で、83万円は12月13日にA会社に現金で支払いました。

(4)12月12日にもBは家に来たので、私はもう除湿剤はいらないと強くいいましたが、40分ほど布団を購入するように言われ、掛け布団・肌掛け布団1枚ずつを合計400万円で購入することとなりました。
内金20万円は現金で支払い、19日に残りの380万円を定期預金を解約して支払いました。

(5)年明けの令和2年1月8日にも、Bは家に来て、掛け布団・肌掛け布団各1枚を合計315万円で購入し、300万円を2月12日に現金で支払いました。

契約書は、購入するときに書きましたが、Bが来たとき、「もう不要になった」といって持っていってしまったものもあるので、全てが手元にあるわけではありません。

交渉の経緯

娘が弁護士に相談した上、A社に電話をして、このように無理やりに買わせるのはおかしい、無効ではないかと返金を求めましたが、無効ではない、クーリングオフ期間は過ぎているので返金に応じられないという返事でした。

証拠資料

  • 売買契約書
  • クレジット契約書
  • 購入した布団、除湿剤の写真
  • 預金通帳
  • 日記帳

脚注

  1. 販売会社及び販売会社代表者