裁判所を利用するか迷う場合は事前に下見や傍聴、食堂や売店の利用で雰囲気を感じてみよう

初めて裁判所の利用を考える場合、一体どんな人が利用しているところなのか、行くときはどんな服で行ったらいいのか、色々と気になることがあり利用になかなか踏み切れないことがあるかもしれません。

実際の裁判所には、老若男女問わずどこにでもいるような普通の人が、服もスーツだったり普段着だったりと色々な格好で来ています。
とくに簡易裁判所や家庭裁判所では、弁護士に依頼しない当事者が1人で来ていることもよくあります。

百聞は一見にしかずです。
利用に踏み切れない場合は、下見や裁判所の手続きの見学(傍聴といいます)、裁判所内に食堂や売店がある場合はその利用などで、実際の裁判所の雰囲気を感じてみることもおすすめです。

裁判所に行くのには、事前に予約や許可はいりませんし、特別な目的も不要です(どうして来たのかと尋ねられることもありません)。
1人で行ってもいいですし、小さな子どもや家族、知人と一緒に行っても大丈夫です。

下見・傍聴

裁判所では、法廷など庁舎を見学(下見)したり、実際に行われている裁判を傍聴することができます。

注意点

危険物となりうるものの持ち込み禁止

裁判所では、爆発物や刃物といった危険物を持ち込んではいけないことは当然ですが、文房具や裁縫道具のはさみ、カッターといった危険物となりうるものについても持ち込みが禁止されています。

庁舎に入る際、金属探知機等を使用した所持品検査を実施している裁判所も増えています。

写真撮影・録音の禁止

庁舎内や敷地内では、写真撮影をしたり、録画や録音をすることは禁止されています。
カメラやICレコーダー、スマートフォン等で写真撮影、録画、録音をすることはやめましょう。
ノート等にメモを取ることは問題ありません。

静かにすること

事件を審理している法廷に、途中で入室したり退室することは問題ありませんが、入退室をする際は静かにし、審理中の私語は控えましょう。
法廷内は審理が行われる場所ですので、携帯電話やスマートフォンは、音が鳴らないマナーモードにするか、切っておく必要があります。

傍聴のおすすめは刑事裁判

法廷で行われる民事裁判や刑事裁判の手続は、誰でも傍聴ができます。

民事裁判では、口頭弁論や判決が傍聴できますが、尋問手続きを除けば手続きは書面を中心に進行し、傍聴人が法廷で進行している事件の書面を読める機会もないので、見学に行っても通常事情がわからず、あまり興味深いと思えるものではありません。

他方、刑事裁判では、起訴状の朗読や冒頭陳述、調書の読み上げといった手続もあり、事件の事前知識がなくても当日傍聴するだけで事件内容が理解できます。

傍聴のおすすめは民事裁判よりも刑事裁判です。

どの法廷でどんな裁判が審理されるかというのは、「開廷表」というもので確認ができます。
開廷表には、その日に審理される事件の時間や法廷番号等が記載されています。気になる事件があれば、その法廷に行き、傍聴席に空きがあれば傍聴することができます(立ち見はできません)。
通常、開廷表は裁判所に入ってすぐの場所にあります。

有名人が当事者となるなど、一部の著名な事件については、傍聴するために傍聴券が必要な場合があります。
傍聴券配布の対象となる事件や、交付の情報については、裁判所のホームページで各地の裁判所の傍聴券交付情報を確認することができます。

民事調停や家事調停の手続は非公開

民事裁判や刑事裁判とは違い、民事調停や家事調停は、公開の法廷ではなく調停室で行われ、手続きは非公開です。
調停室を見たり、調停がどのように進むかは見ることはできませんが、待合室の部分であれば入室して雰囲気を知ることが可能です。

食堂、売店の利用

簡易裁判所だけではなく、地方裁判所や家庭裁判所などがまとまってある規模の大きな裁判所には庁舎内に食堂や売店が設置されていることがあります。
食堂や売店を利用できるのは裁判所の関係者や弁護士に限られず、誰でも利用できます。

食堂は、数百円程度のメニューが中心で、市役所や区役所に設置されているようなシンプルなものですが、気軽に入ることができる存在です。

なお、東京では、霞が関の地方裁判所・家庭裁判所ともに、以前は庁舎内に食堂があったのですが、地方裁判所の食堂は閉店し、現在利用できるのは家庭裁判所にある食堂のみとなっています(2023.6現在)。
立川支部では、2023年3月1日より当分の間、食堂及び売店の営業は休止されています。

各地の裁判所食堂も、以前はあったが現在は閉店・営業終了となっていることもあるため、利用を考えられる場合は、事前に営業の有無や営業時間を確認の上ご利用ください。