相手を民事調停に出席させることはできない?出席させるために申立人がとれる3つの簡単な方法

話し合いの土俵に上がってもらうことが何より重要

民事調停は、相手が欠席を続けるなど相手に出席の見込みがない場合は、話し合いができないため不調となり終了します。
そのため、民事調停を起こすにあたっては、相手に出席して話し合いの土俵に上がってもらわないといけません。

出席しても不成立となる可能性はないわけではありませんが、当初はお互いの考えに大きな隔たりがあったとしても、第三者である調停委員会をはさんで意見交換を進める中で、少しずつお互いの妥協点が見いだせ、無理だと思っていた調停が成立したり、調停委員会の出す17条決定を双方が受け入れることで無事に事件が終了することがあります。

申立人側からできる、相手が民事調停に出席してくる確率を上げる簡単な方法を紹介します。

相手が出席してくる確率を上げる方法

民事調停を起こすことは事前に伝える

民事調停を申し立てた場合、相手のもとに裁判所から呼出状や申立書等が届きます。
相手が裁判や調停への対処に慣れた大きな会社であれば問題ありませんが、裁判所をこれまで利用したことのないような家族経営の小さな会社や一般人の場合は、裁判所から書類が届いたときは通常驚きます。

また、話し合いがまとまらず、お互いに連絡をせず時間が何か月、何年と経過したままだった場合、相手の中では既に問題が終了したことになっていることもあります。

いきなり書類が来たけれどよくわからないしなんだか怖いとか、もう終わったことなんだから今更いいだろうという理由から欠席されてしまうこともあります。

そういった事態を防ぐためには、事前に、これから民事調停を起こすということを相手に伝えておくことが有効です。

当事者同士で解決することは難しそうなので、第三者の下で話し合って妥当な結論を出してもらうことを考えている。
話し合って解決するために裁判所の民事調停という制度を利用するので、裁判所から書類が届いたら内容を確認して出席してほしい。

というように、どうして民事調停を起こすのか、民事調停はどういう制度なのかということまで相手にわかるように伝えると相手も事前に心の準備ができます。
民事調停は裁判とは違う制度だということも伝えると、相手の出席への不安を軽減することもできます。

事前に伝えないで調停を起こす場合には、申立書の紛争の要点の欄の最後に、交渉の経緯として、これまでしてきた交渉に加え、どうして自分が突然調停を起こそうと思ったのかということを書いておくとよいでしょう。

申立書に攻撃的な内容を書かない

申立書の段階ではあまり攻撃的な内容を書かないということも重要です。
あなたが提出する申立書は、証拠資料とともに、第1回期日の前に相手に郵送されます。
相手が出席するかどうかを考えるにあたっての判断材料は、あなたから提出された申立書や証拠です。

そのため、申立書の中に事実関係を大げさに書いたり、相手を一方的に悪者にするような内容や事実ではない憶測を多く書いたりした場合には、相手が読んだ段階で感情を害してしまい、調停で話し合いをしようという気持ちになれなくなることがあります。

相手から誠実な対応を受けられないで民事調停を起こすことになっているわけですから、自分の言い分を調停委員にわかってもらいたかったり、味方になって相手を説得してほしいという気持ちを持つのは自然なことです。

しかし、まず考えるべきは、相手を出席させて調停の席につけるということです。

また、期日では、調停委員に申立書に記載した事実関係を補足したり、追加で記載していない事実関係に説明をする時間も十分とってもらえます。

色々と言いたいが相手の気分を害する可能性が高いだろうことについては、調停委員に直接話すかわりに、申立書段階で記載するのは客観的な事実関係を中心とすることにとどめておこうという判断も必要かと思います。

欠席を続ける場合は裁判も検討する旨伝える

以上2つを実践しても、相手は調停期日に来てくれないこともありますが、この場合には、

このまま次回以降も民事調停に欠席を続けるなら、民事調停ではなく裁判を起こすことも考える

と相手に伝える方法があります。
相手が裁判まで起こされたくないと思い、次回以降の調停に出席してくる可能性があります。

裁判などの法的手段に訴えることは正当な権利ですから、裁判を起こすことも考えると伝えることは、脅迫罪などの犯罪にはあたりません。

あなた自身が現時点で裁判はしたくないと思っていたとしても、欠席により調停が不成立となった場合、その結果を受けて改めて裁判すべきかどうか考えることになるため、このように伝えても嘘にはなりません。

また、伝えたからといって裁判を起こさないといけないわけではなく、裁判は難しそうだったり手間がかかりそうだ等の理由から、裁判を起こすことを見送っても問題はありません。