民事調停による和解成立!北九州私立高校生の自殺事件で加害者3人から謝罪

2017年に北九州の私立高校2年生が自殺した事件で、民事調停を通じて、遺族である両親と同級生3人との和解が成立したとの報道がありました(6年前の女子生徒自殺 民事調停を通じ同級生3人から謝罪 NHK北九州 NEWS WEB 2023年3月17日報道)。
いじめの加害者である同級生3人からの謝罪が実現したとのことで、民事調停によって柔軟な解決が図れた事例ともいえます。

謝罪が実現するまでに事件から6年が経過していますが、民事調停は、統計上、1年以内に90%近くが終了する迅速な解決手段であり、決して6年もかかるものではありません。

上の記事でも少し言及がありますが、本件では、先に両親が日本スポーツ振興センターに対して民事裁判を起こしていました(4年半、やっと娘に報告できる…北九州の高2自殺「いじめが原因」認めた判決 西日本新聞 2021年11月26日報道)

この民事裁判は、学校での災害給付制度を運営する日本スポーツ振興センターに対するものです。本件では、被害者に対するいじめの有無や、いじめと自殺の因果関係について、県の第三者委員会による調査や、第三者委員会による再調査がされ、委員会からは、同級生によるいじめがあったとの認定はされたものの、自殺といじめとの因果関係はないとの結論が出されてしまいました。
調査結果を受け、日本スポーツ振興センターが死亡見舞金を不支給としたため、両親はセンターへの提訴をせざるをえなかったようです。結果として、福岡地方裁判所は、2021年の11月25日の判決で、自殺がいじめの主原因であると認定することとなりました。

民事裁判は、日本スポーツ振興センターを相手どっていじめと自殺の因果関係を主に争ったもので、加害者である同級生は相手とされていません。民事裁判で加害者である相手を訴えると、全面的に遺族と相手方である同級生や同級生の親が対立するという構造となり、謝罪の実現も困難です。
県の委員会が自殺といじめとの因果関係を認める結論を出していた場合、民事調停のみでもっと速やかな解決ができたと考えられます。