内容証明郵便でなくても効果がある?裁判所内郵便局からの発送で消印が相手に与える心理的な効果を利用

内容証明でなくてもいい場合とは?

相手に金銭を支払うように請求したり、なにか対応してほしいことについて要望を送る場合は、内容証明郵便がよく利用されます。
内容証明郵便は、以下の記事で書いたように時効が迫っていたり、法的効果が発生したことを証拠で残したいとき、相手にプレッシャーをかけたいときに有効な手段です。

しかし、内容証明を送る場合、文字数にもよりますが、最低でも料金として1通1,500円程度は必要となります。
普段から出し慣れたものではないので、e内容証明などネット上で利用できる手段も出てきたとはいえ、手軽に出しにくい存在だなと思う方もいるかもしれません。

そのため、内容証明を送りたい目的が支払いを実現させたり、相手に対応してほしいというだけで、目的が相手にプレッシャーをかけたいというだけの場合は、必ずしも内容証明郵便でないとというわけではなく、配達員が手渡しして受け取った人の受領印かサインが必要となる簡易書留郵便も有効です。

他に、裁判所内にある郵便局を事実上活用するという方法があるので、紹介します。

裁判所内郵便局の効果とは?消印を利用する

消印の与える心理的な効果を利用する

全国にある郵便局の中には、裁判所の中に設置されているものが存在します。
郵便を出すと郵便物に消印が押されますが、この消印の相手に与える心理的な効果を利用します。

裁判所の中に設置されている郵便局は、名前に「裁判所」がつくため、消印にも「裁判所」という文字が入ることとなります。
消印の文字を見た相手に「対応しないとまずいかな……」という気をおこさせるのです。

書留郵便でなく普通郵便でも消印は押してもらえるので、手軽に利用できます。

裁判所内の郵便局

「裁判所」がつく郵便局の一覧です。

  • 最高裁判所内郵便局(〒102-0092 東京都千代田区隼町4-2)
  • 東京高等裁判所内郵便局(〒100-0013 東京都千代田区霞が関1-1-4)
  • 北浜郵便局高等裁判所内分室(〒530-0047 大阪府大阪市北区西天満2-1-10)

注意点:差出人や内容は偽らない

公文書偽造・行使罪を意識

裁判所内にある郵便局の効果を利用するといっても、送る文書自体は、あくまで、あなたから相手へのものとして出すことが必要です。
相手の心理に与える効果をあげようと、差出人や内容を偽るようなことはしないようにしましょう。

たとえば、裁判所が差出人であると読めるような書き方をすることや、裁判所が相手に支払うように命じているような内容にする、裁判所が判決を出したかのような書き方をすることには法的な問題があります。

裁判所が作成した文書というものに対する公共の信頼を傷つけるものとなり、刑法上の公文書偽造罪(刑法155条1項)や同行使罪(同158条)という犯罪になりかねません。

なお、裁判所のふりをした不審な郵便物等が送られるということは実際にあり、裁判所から注意喚起がされています。裁判所や裁判所職員等を装った不審な郵便物、電子メールや電話等に御注意ください。(令和5年5月更新)

相手が勝手に勘違いしてしまったら問題にならない?

相手が「裁判所」の消印が押された郵便物を見て、差出人はあなたとなっているのに、勝手に裁判所が送ってきたものだと勘違いした場合はどうなるのでしょうか。

この点は問題ありません。
一般の人がみんな、差出人があなたで消印が裁判所になっている郵便物を見た場合に同じ勘違いをするかというと、そんなことはないからです。

また、自分から相手に、「郵便物を裁判所の中の郵便局から送りました、消印に裁判所と入っていますが裁判所は関係ありません。」とまで言う必要もありません。

もしも、「裁判所から郵便物が届いたんだけれど、裁判を起こしたのか?」等聞かれたら裁判は起こしていないと伝えればいいだけで、あらかじめ自分から相手に、「郵便物を裁判所の中の郵便局から送りました、消印に裁判所と入っていますが裁判所は関係ありません。」というようなことを伝える必要もありません。