民事調停の呼出状が届いたら?行かないとどうなる?

調停に行ったら必ず解決するのか

不成立の可能性はある

民事調停に出席して話し合いさえすれば、申立人との問題が必ず解決するというわけではありません。

申立人とあなたの両方が出席して言い分を主張し、調停委員会による調整をしてもらってもなお話がつかないような場合には、不成立となることもありえます。

申し立てられた問題について、話し合いでの解決ができないと調停委員会が判断すれば、民事調停は不成立となります。

裁判所による決定がされることも

民事調停での話し合いで、相互に歩み寄りが見られたにもかかわらず合意の成立にはあと一歩至らないような場合は、調停を不成立で終了させてしまうのは惜しいといえます。

このような場合、裁判所が相当と認めるときには、話し合いに同席していた民事調停委員から意見を聞いた上、双方のために公平に考慮し、一切の事情を見て、職権で、当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で、事件の解決のために必要な決定がされることがあります(民事調停法17条 調停に代わる決定)。

この17条決定の内容に納得できない場合には、決定の告知を受けた日から2週間以内であれば異議を申し立てることができます。
適法な異議を申立てることによって、17条決定は効力を失います。

異議の申し立てがどちらからもされない場合は、17条決定の内容が、裁判上の和解と同一の効力を有することとなります(以上、民事調停法18条)。

解決できなければ裁判が起こされることも

民事調停が不成立となった場合や、17条決定に対する異議により、17条決定の効力が失われた場合、問題の解決はできません。

後日に、申立人から同様の問題について裁判が起こされることがあります。

注意!調停資料をSNS等で公開しない

調停を起こされた場合、経験者から意見を求めたくなるかもしれません。しかし、家族や知人に直接の相談をするのはともかく、ツイッター、インスタグラムなどのSNSやブログ等で、調停の資料を広く公開することには慎重になるべきです。

民事調停規則は、「調停の手続は、公開しない。」 と規定しています(民事調停規則10条)。
民事調停は非公開で、調停の記録も第三者に閲覧されることがないものとして位置づけられているのです。

調停資料の公表について直接判示した裁判例はありませんが、令和3年7月16日、東京地方裁判所は、訴訟の被告が、受領した訴状を、第一回口頭弁論期日における原告による陳述の前にブログ等を通じて公表する行為の違法性について判断しています。

この事案では、被告の行為が訴状を作成した弁護士の著作権(公衆送信権)及び著作者人格権(公表権)を侵害するものであるとして、被告に対し、著作者人格権侵害に基づく慰謝料2万円の支払いを命じる判決が出されました。