民事調停の呼出状が届いたら?行かないとどうなる?

民事調停の呼出状が裁判所から届いたのですが、どうすればいいのでしょう。
また、裁判所に行かないで欠席したらどうなるのでしょう。

民事調停とは何をするものなのか

民事調停は、裁判のようにどちらかの勝ち負けを決めるための制度ではなく、話し合いによって紛争の解決を図る手続きです。

調停委員会は、調停を申立てた方の言い分も、申立てられたあなたの言い分も十分に聞いた上で、双方が折り合える点を探ります。

仮に、申立人があなたの非ばかりを訴える内容を申立書に記載していたとしても、調停は申立人や調停委員があなたを責めるだけの場となるわけではありません。

まずは書類の内容を確認しよう

調停期日の呼出状には、民事調停が行われる期日や場所が記載されています。

同封された申立書には、申立の趣旨(相手方であるあなたに何を求めるのか)、紛争の要点(申立の趣旨を求めるにあたっての申立人とあなたとの間の法律関係や事実関係、調停を起こすに至った経緯等)が書かれています。まずはこの内容を確認しましょう。

相手方が弁護士をつけて調停を申し立ててきたのであれば、弁護士の名前も記載されています。

弁護士に相談や依頼をする必要はある?

民事調停は話し合いの場です。裁判のように書面による法律に基づいた厳密な主張や立証を行う必要はありません。
弁護士をつけないで自分で対処する人も多く、申立人側が弁護士をつけずに申立てをしてくることも珍しくはありません。

そのため、民事調停において、弁護士への相談や依頼は、必須ではありません。
しかし、送られた民事調停申立書の内容をよく読んでもどのように対応していったらよいかわからなかったり、専門的な助言を受けたい場合は、弁護士に相談することを考えましょう。

調停を起こしてきた人の気持ち

あなたに民事調停を起こした相手方は、どのような気持ちでしょうか。

裁判の前に必ず調停を起こさないといけない賃貸借における賃料増減額問題(民事調停法24条の2第1項)は別ですが、あえて裁判ではなく民事調停という手段を選んできた相手方には、問題にはっきりと白黒つけたいというよりも、あなたと話し合いをすることによって、問題を友好的に解決ができればという気持ちがあるのかもしれません。

また、申立の趣旨に記載された内容を全面的に受け入れることにあなたが納得できない場合は、申立人側としても、調停の中で相応の譲歩をする気持ちがあることも考えられます。

民事調停の欠席について

欠席するとどうなるか

民事調停ではなく民事裁判では、裁判所から指定された1回目の期日に何も書面を出さずに欠席した場合、「相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合」であるとして扱われてしまいます(民事訴訟法第159条第1項参照)。
これを擬制自白といいますが、この擬制自白によって、訴えを起こしてきた原告の主張を全面的に認める内容で欠席判決が出てしまうおそれがあります。

民事調停にはこのような規定はなく、欠席したことを理由に、民事調停を起こした申立人の主張が全面的に認められてしまうということはありません。

欠席にペナルティはあるか

民事調停に「正当な事由」なく出頭しなかった場合には、5万円以下の過料に科せられる可能性があります(民事調停法34条)。
入院などやむを得ない事情ではなく、単なる多忙を理由に欠席するような場合には、この「正当な事由」が認められない可能性があります。

都合がつかない場合はどうしたらいいのか

指定された期日の都合がつかない場合は期日変更の手続をするという方法もあるので、裁判所と相談してみましょう。
1回の民事調停にかかる時間は1~2時間程度です。

開かれる調停期日は、1か月に1回程度で、おおむね2、3回の期日を経て3か月以内には調停が成立するなどして事件が解決して終了することが多いです。

自分は都合がつかないが解決したい場合は、弁護士を代理人にたてることもできます。
裁判所(調停委員会)の許可を得て、家族や従業員(会社が調停の当事者となった場合)など、紛争の実情に詳しい者を代理人として出頭させるということもできます(民事調停規則8条)。

それでも出席したくない

どうしても調停での話し合いをしたくない場合、第1回期日の前に絶対に調停に出席しない旨を裁判所に伝えたり、第2回以降も欠席を続けることによって、民事調停は不成立となり終了します。

しかし、欠席での調停不成立では問題解決にはならないので、申立人から同様の問題について裁判が起こされることがあります。
裁判を民事調停と同じように欠席した場合、上でも書いたように、訴えを起こしてきた原告の主張を全面的に認める内容で欠席判決が出てしまうおそれがあります。

裁判が起こされてからやっぱり調停で話し合い解決をしたかったと思っても、それは難しいため、民事調停による解決の機を逃さないことは重要といえます。