交通事故被害者なのに調停を起こされた

放置するとどうなるのか

加害者側からの債務額確認調停や債務不存在確認調停を放置し、裁判所に出頭しないと、調停自体は不成立となり終了します。

しかし、不成立によって調停が終了すると、加害者側にとっては解決とはならないため、ほどなくして債務不存在確認訴訟を起こされる可能性が高くなります。

弁護士をつけないで解決しようとする場合は、訴訟よりも調停の方がずっと自力で対応しやすい手続きです。
既に症状固定しており、損害額を計算できる状態の場合、積極的に調停での解決をはかるとよいでしょう。

参考:民事調停の呼出状が届いたら?行かないとどうなる?

債務不存在確認訴訟とは

交通事故における債務不存在確認訴訟とは、加害者側が、損害賠償債務は自分の主張する金額を超えて存在しない、もしくはそもそも存在しないという確認判決を求めて提起する訴訟です。
債務額確認調停や債務不存在確認調停と同じ内容の争いです。

気をつけるべき点

反訴が必要

加害者側から調停を起こされた場合、被害者側からは調停を起こさなくとも、被害者が受け取る損害賠償額について調停手続きでは合意ができます。
しかし、債務不存在確認訴訟では、損害賠償額についての加害者の主張だけが裁判所での審理の対象とされるます。

起こされた債務不存在確認訴訟の手続の中で加害者から損害賠償を受けるためには、被害者側から別途、自分の損害を計算した上で損害賠償請求訴訟を反訴として提起する必要がでてくるのです。

主張立証責任を負うことも

訴訟では、調停とは違って主張立証責任が厳密に問題とされます。

症状固定の有無が問題となる場合についていうと、債務不存在確認訴訟を提起する加害者側に被害者の症状が固定したことを主張立証する必要があります。

しかし、加害者側が症状固定を基礎づける事実について主張立証を行った場合には、それを覆すため、被害者から現在も症状が固定していないことを主張立証する必要が出てきます。
主張立証に失敗した際には、敗訴することとなります。

応訴を余儀なくされることも

事故により負った傷害の治療が現実的にまだ必要な状況で債務不存在確認訴訟を起こされた場合、損害額を確定させることはまだ難しい状態といえます。
治療費や慰謝料はもちろん、後遺障害が残存するかといった点もわからないからです。

しかし、債務不存在確認訴訟を加害者側から起こされてしまうと、被害者側から応訴を余儀なくされるという事態になりえます。

このような事態を防ぐためには、調停が起こされた段階で放置するのではなく、出席して期日を重ねることで時間を稼ぐということも一つの手段となります。

弁護士に相談だけでもしてみよう

相手方から債務額確認調停、債務不存在確認調停や訴訟が起こされた場合、損害賠償額の基準や因果関係、症状固定といった概念についてある程度知識をもって臨むことが重要となってきます。
特に症状固定についての争いでは、医学的な部分での主張立証を検討する必要も出てくるため、弁護士に相談だけでもしてみることをおすすめします。

交通事故については、法テラスや弁護士会、日弁連交通事故センター等の無料の法律相談制度が整備されています(参考:無料相談はある?弁護士に聞きたいことがあるけどお金が気になる方へ)。
また、加害者側がこういった手段に訴えてくるのは、そのほとんどが被害者がけがをした人身事故の事案ですが、人身被害事故については多くの一般の法律事務所でも無料法律相談が実施されています。